日本原産の希少な珊瑚!“血赤珊瑚”の特徴について解説
珊瑚は大自然が長い年月をかけて育んだ天然の宝石です。珊瑚のもつ艶やかな光沢や美しい色合いはギリシャ神話にも登場するほどの昔から現在に至るまで、ずっと人々を魅了し、愛され続けています。とくにヨーロッパ、日本、中国では宝飾品やお守りとして重宝されてきました。今回はそんな珊瑚の中でも希少な血赤珊瑚の特徴について解説します。
血赤珊瑚の特徴
宝石の珊瑚の正体は、光の届かない深海でひっそり生息しているサンゴ虫と呼ばれる生き物です。1cm成長するのに約50年かかる種類もあり、長い年月をかけてゆっくり成長するのが特徴です。絶滅危惧種として保護対象となっていることもあり、年々希少価値が高まっています。珊瑚にはさまざまな紅色のグラデーションがあり、濃い赤から朱色、淡いピンク、純白とそれぞれのカラーに個別の魅力があります。
中でももっとも人気が高いのが血赤珊瑚と呼ばれる濃い赤の珊瑚です。血赤珊瑚は日本産の赤珊瑚の中で、とくに色の濃い一級品のものだけに限られます。原木は日本近海、とくに高知県沖の海底に多く生息しています。日本産の血赤珊瑚は原木の中心に人間の骨のように白い色の“フ”が見られるのです。血赤珊瑚を丸玉に加工する際には、このフを避けて作らなくてはならないためフのない10mm以上の丸玉はほとんど存在しません。それだけフの少ない原木は希少で高価なものです。
また、珊瑚は深海に生息しているため引き上げられる際に気圧差によりダメージを受けます。その際に発生するクラックは“ヒ”と呼ばれます。また、海中で生息する際に付着したフジツボなどを巻き込んで成長するため、加工時にこれらの巻き込まれたものが不純物として出てくることがあるのです。
不純物によるへこみや傷、ヒの存在は天然珊瑚の証であるともいえます。赤珊瑚は地中海沿岸の各国でも採取されていますが、日本と比べて水深50~200m程度の浅瀬に生息しているため、赤の色が明るく、材質がやわらかで傷つきやすいという特徴があります。また、地中海産の珊瑚にはフがなく、珊瑚自体の色むらが少ない特徴も日本産の珊瑚と見分けるポイントとなるのです。
血赤珊瑚は富裕層に人気!
明治時代以降より高い人気を保持してきた血赤珊瑚ですが、インバウンド消費が拡大したことにより、近年人気が再燃している状態です。その理由は台湾や中国の富裕層からの需要が高まっているため。台湾や中国では赤は縁起のよい色としてもともと好まれていることも背景に、2014年には小笠原諸島や伊豆諸島周辺で中国漁船がサンゴ密漁をする問題も発生しています。ここまで注目を集める原因は、血赤珊瑚の採取量が限られたものであり、かつ人気のある宝石であることが挙げられます。
血赤珊瑚は定期的なメンテナンスが重要
血赤珊瑚の美しさはなんといっても独特の赤い色合いです。この鮮やかな赤を維持するためには、定期的なメンテナンスは欠かせません。とくに日ごろ身に着ける際の手入れをおろそかにしていると、珊瑚の光沢が失われてしまう可能性もあるため気を付けたいものです。
珊瑚の主成分である炭酸カルシウムは酸に弱いという性質があります。酸性度の高い水にさらされると解けてしまうので、身に着ける際には汗や皮脂、化粧品、果汁などが付着しないよう注意し、使用後にはやわらかい布で表面の付着物を丁寧に拭きとりましょう。また、布で拭いてもとれないような汚れがついた場合には、弱アルカリ性である重曹を使って手入れするとよいでしょう。水と重層を8:2の割合で混ぜた液体に赤珊瑚を入れ、指の腹で洗います。
洗浄後は重曹が残らないよう、念入りにすすぎ洗いをし、自然乾燥させます。珊瑚は熱にも弱いので、ドライヤーや暖房などにあてて乾かすのはご法度です。表面の光沢が失われた場合には、研磨することで光沢が復活します。素人が自己流で磨くより、専門店に相談したほうが失敗なく美しく仕上がります。
まとめ
日本原産の希少な珊瑚、血赤珊瑚の特徴について解説しました。赤珊瑚は地中海でも採れますが、日本産の赤珊瑚のほうがより赤味が濃いのが特徴です。日本産の赤珊瑚のうち、赤が濃い一級品は血赤珊瑚と呼ばれ、近年富裕層からの需要が急激に高まっています。血赤珊瑚にはフと呼ばれる白味が含まれていることと、引き上げの際に気圧差で生じるヒというクラックや、不純物によるへこみや傷がつきやすいことが特徴となっています。珊瑚は酸や熱、紫外線に弱いので身に着ける際や保管する場合には注意が必要です。